大根踊り

2003年11月28日
遅ればせながら、箱根駅伝の予選会があったみたいですね。

で、東京農業大学が7年ぶり位で箱根出場を勝ち取った様です。

すばらしい。

よくやった、東農大。

今年の1月中旬くらいでしたでしょうか。
箱根駅伝の裏側、みたいな特番やってまして。

その番組で、東農大を取り上げてたんですよ。

東農大ってのは1921年ぐらいから箱根駅伝に出場していた古豪で、最近では1972〜1997年の間、ずっと連続出場を続けていた大学です。

で、東農大の何が有名かって言いますと、応援。

応援団が踊る「大根踊り」です。

文字通り、団員全員が大根両手に握り締めて踊るんですけど。

何時からその応援が始まったか忘れましたけど、以来、ず〜っとその応援してるんですよ。
応援団も箱根駅伝で応援することが年中行事化してたんです。

なにせ25年間連続出場でしたから。

4年生の応援団長は、箱根駅伝で箱根駅伝の応援の時にだけ袖を通す事が出来る純白の羽織を着て力の限り応援し、その応援をもって引退すると。

ところが、ここ7年間は成績が振るわず、箱根駅伝出場できなかったんですね。

そうすると、応援団は大根踊りを箱根で披露する事なく、団長は純白の羽織に袖を通すことなく引退することになります。

で、去年。
応援団長と陸上部部長(もちろん長距離選手)が親友だったんですね。
部長にとって箱根駅伝出場は自分の夢であることは勿論、応援団長に純白の羽織を着させることでもあると。
なんですけど、部員達の力は十分ではない状況だったんです。
正直、出場は難しかったんです。

応援団長もそれは知っています。

ですけど、応援団は壮行会を開いて大根踊りを踊って激励し、箱根駅伝予選会に送り出しました。

箱根駅伝予選会は、部員の内の上位10人の合計タイム順で箱根駅伝出場が決まるんです。
会場は都内のどこかの公園です。

部員達は勿論必死に走ります。

応援団も大根踊りを踊って応援します。
ですけど、箱根駅伝ではないので、団長は普通の学ラン着て応援します。

必死に、皆、必死に頑張ります。

・・・精一杯頑張りました。
でも、結果は、箱根出場ならずでした。

予選会後、陸上部は応援団に挨拶をします。
それは例年行われる行事で、陸上部、応援団全員集まって行われます。

応援団長は全力を出し切った陸上部員達に、ただ、

「ありがとう」

と言いました。涙は見せませんでした。

それから、団長は、団長にとって最後となる大根踊りを陸上部に送りました。

精一杯、団長は踊りました。

力を出し切るも夢を叶えられなかった親友に向けて。

その親友に己の夢を託した団長の、絶叫にも似た大根踊りでした。

それだけの思いが込められ、受け継がれてきた東農大の大根踊り。

来春の箱根駅伝では、新団長が箱根駅伝の応援でしか袖を通せない純白の羽織を纏って大根踊りを踊ります。

今度の箱根駅伝は、東農大に注目です。

コメント